
台北で感じた、海鮮と文化が交わる食の祭典
先日、台北の世界貿易センター(世貿一館)で開催された「台湾美食展2025」に三日連続で行ってきた。台湾美食展は、台湾国内の食材や加工品、日本を含む海外の出展も集まり、五感で“おいしい”を楽しめる、にぎやかで大規模なイベント。毎年ちょうどこれくらいの時期に開催されている。
今年のテーマは「海鮮」。会場内では海鮮に関連する商品も各所に見られたけれど、それに限らず、台湾各地の農産物やスイーツ、調味料、日本や海外の加工食品まで、バラエティ豊かなジャンルが並んでいたのが印象的だった。
ちなみに今年の台湾美食展は、4日間で122,939人が来場。昨年から約17.5%増加という盛況ぶりだったそう。会場では200名以上の料理人や職人が参加し、約400本の料理ショーや講座、キッチンワークショップが行われ、まさに「食の総合芸術祭」と呼ぶにふさわしい熱気があった。
台北にはフード系の大規模イベントがいくつかあるけれど、その中でも「Food Taipei(フードタイペイ・台北國際食品展)」と比べると、台湾美食展はより生活者視点・来場者体験重視の展示会という印象。
Food Taipeiが「業者向け・BtoB色の強い国際食品見本市」であるのに対し、台湾美食展はもっと一般消費者寄り。試食も多く、ライブ調理やトークショー、文化要素を含んだステージなど、“楽しめる展示会”という意味ではまったく違う空気感だった。


熱気溢れる会場と台湾各地の“いま”が集う
会場に入ってまず感じたのは、熱気とにぎわい。
開場直後からすでに行列ができていて、あちこちで試食を待つ人の波ができていた。
揚げ物の香り、甘いスイーツの匂い、調理の音と人の声が混ざり合って、歩いているだけで食欲がわく。台湾のイベントらしい、オープンでフレンドリーな空気。
「これ辛い?」「子どもでも食べられる?」そんな一言が自然と飛び交っていて、作り手と食べ手が同じ目線で会話しているような光景が広がっていた。
台湾ブースでは、地方の特色があふれる食材や料理がずらりと並んでいた。
港町から来た新鮮な海鮮や、客家の伝統料理をアレンジしたスイーツ、南国フルーツを使った創作ドリンクなど、それぞれの土地が誇る“いま”が持ち寄られているような賑やかさだった。特に印象に残ったのは、生産者や小さなブランドの人たちが、直接その場で説明していたこと。「普段はここまで話せないんですよ」と笑う声の裏に、食べ物の背景が見えてくる気がした。






日本美食館と、三重県の牡蠣
日本ブースも設けられていて、北海道、九州、関西など、いくつかの地域から出展があった。台湾美食展の中に「日本美食館」として、水産物を中心に調味料やお菓子などの“日本の味”が紹介されている。広島のお好み焼きや高知のいもてん(芋天)、宮崎の特産品など、その場で調理される実演も多く、屋台のような臨場感があった。
中でも印象に残ったのは、日本の水産庁が魚食を推進するために設けたキャンペーン「さかなの日」の取り組み。日本国内で魚離れが進む中、台湾でもその魅力を伝えようという企画らしい。台湾という新しい食卓に届けようとする姿勢が興味深かった。
そして、三重県の牡蠣フライ。
その場で揚げたてを提供していたのは、東京・銀座で牡蠣Barを営んでいるというオイスターショウコさん(🔗ショウコさんの 公式インスタグラムはこちら)。
最初はただ揚げてくれている方だと思っていたけれど、実は、全国の牡蠣生産者を巡ってイベントやツアーを開催しながら、牡蠣の魅力を広める活動をしている、まさに“牡蠣に人生をかけている人”だった。「牡蠣で世界平和を目指す」というキャッチコピーも、冗談のようでいて本気。情熱と遊び心が同居していて、すごくイイ。
台北で、そんなふうに牡蠣を愛する人のカキフライを食べられるとは思っていなかった。
衣はサクサク、中はとろりとミルキー。隣で試食していた台湾の人たちも、「サクサクプリップリでおいしい!」「臭みが全くないね」と笑顔で話していて、言葉がなくても通じるものがあるんだなと感じた。
丸愛さんのブースには、牡蠣せんべいや魚のすり身、黄金福だしなども並んでいて、家庭でも取り入れやすそうな商品が並んでいた。
本当は石垣島も出展予定だったらしいけれど、今回は直前で中止になったとのこと。
個人的にはとても楽しみにしていたので、ちょっと残念だった。
来年以降の出展に、密かに期待している。










ステージで響いた、沖縄の音
ちょうど会場に入った時、会場中央のステージでは三線演奏者のAMIさんによる演奏が行われていた。沖縄出身で、実は私の妹でもある。ステージに立つ姿を見るのは久しぶりだったけれど、三線の音色とともに沖縄の空気をまっすぐ届けてくれるその演奏は、やっぱり特別だった。食のイベントに響く三線の音は、ちょっと不思議で、でもとても心地よかった。ふと足を止めて聴いている人が増えていき、三線の音が、食と音、文化と文化を静かにつないでいるようだった。
沖縄と台湾は、似ているところがたくさんある。海に囲まれていて、魚介が豊富で、地域ごとに多様な食文化がある。でも、同じ食材でも調理法や味付けは全然違う。
三重県の牡蠣フライを通して見えた「食べ方の違い」と、それに対する台湾の人たちの素直なリアクションは、言葉じゃないコミュニケーションとして、すごく印象に残った。




おわりに──そして来年へ
台灣美食展は、ただ食べるだけのイベントじゃなかった。会話が生まれたり、文化が交わったり、未来を想像したり。食をきっかけに、たくさんの“つながり”が見えたような気がした。
そして、来年の開催もすでに決定している。次回は2026年7月31日〜8月3日、台北世貿一館にて開催予定。今年以上の規模と多様なテーマが期待されている。
こうしたイベントや台湾での出展に関心がある方がいらっしゃいましたら、現地のネットワークを通じてお話をつなぐこともできるので、気軽に声をかけてもらえたら嬉しいです。