空腹の波とゆるやかな時間の過ごし方

ファスティング2日目|水分補給と温かい出汁で乗り切る

ファスティングは、初日を越えると体が少しずつ「食べないリズム」に慣れ始める。(となかちは勝手に思っている)空腹でどうしようもなかった感覚が落ち着く時間帯が増え、逆に「食べなくても案外いける」と思える瞬間が出てくる。とはいえ、むしろ空腹感が波のように強弱を繰り返すのが2日目の特徴。

前日は自然な流れでファスティングを始めたものの、やはり軽い目眩や軽いふらつきはあったので、梅酵素ジュースや出汁スープでしのぎながら、なんとか一日を過ごした。
2日目はその延長線上になり、もっぱら「空腹とどう付き合うか」がテーマになった。

ただ、2日目はそこで終わらない。
むしろ厄介なのは「体の空腹感」ではなく「頭の中の食欲」だと気づく。
冷蔵庫の前を通れば勝手にドアの取っ手に手が伸び、街を歩けば飲食店の匂いに敏感になることこの上なく、夜中の飯テロの如くSNSに半強制的に流れてくるラーメンやスイーツといった様々な誘惑。それに、体は落ち着いていても、心の方がざわついてくる。

さらに、集中力が妙に増す時間がある一方で、急に倦怠感に引きずられて横になりたくなる時間との戦い。これは「糖から脂肪へ、エネルギー源を切り替える過程」で起こる典型的な反応らしい。
いわゆるケトン体モードへ切り替わり始めている合図。

つまり、ファスティング2日目は「食べたい気持ち」と「体のモード転換」がぶつかり合う境界線。昨日より落ち着いているようで、実はメンタル的には一番揺れる時期だった。
何回かファスティングを実行している身としては、二日目と三日目が一番辛いと思う。


午前:味覚が鋭くなる、不思議な感覚

朝は昨日と同じく、梅酵素ジュース+レモン+白湯。
口に含んだ瞬間、酸味の角と甘みの奥行きがはっきりわかる。昨日より一段クリア。レモンの皮に近い部分のほろ苦さまで拾えるのが面白い。舌先は酸を、舌の側面は甘みを、喉の奥はぬるい温度を受け取って、それぞれ別チャンネルで伝わってくる感じ。

空腹は残っているのに、1日目のような“ぐらっ”とくる立ちくらみは薄い。体が軽く、静かにまとまっている。ベッドの上で横向きになってSNSを流し見しても、反応が過剰にならない。思考のスピードは少しゆっくり、でも濁りはない。いわゆる“淡々と進む”モード。

口の中の変化も顕著。唾液が増えて、飲み物の温度差に敏感になる。塩をひとつまみ溶かした水と、白湯を一口と交互に飲むと、食道を通る速度の違いがわかるくらい。甘さは足さずに、ミネラルだけ補うのが今朝の方針。

窓を開けて深呼吸。
外気の匂いがやたら精密な感じがした。アスファルトの乾いた匂い、どこかの家の洗剤、遠くから流れてくる炒め物の油。嗅覚が少し拡張されているのかもしれない。刺激が強すぎると食欲のスイッチに触れるので、鼻から4秒吸って4秒止めて8秒吐く、ゆるめの呼吸で波をならす。胸とみぞおちが同じペースで上下すればOK。

メモ帳を開き、気づきを短文で記録。
「酸味は鮮明」「立ちくらみ減」「乾きは塩水少量で解消」「だるさはレモン汁で解決」。
この四つを書いたところで、空腹のエッジが一段マイルドになる。
結局のところ、朝の課題は“誘惑に負けて何かを食べるかどうか”ではなく、“感覚のボリュームをどう整えるか”。それに立ちくらみへの解決や、せめて日常的に不足気味なビタミンくらいは取っておきたいし、ファスティング中は体がなんだか省エネモードなので疲れやすいと感じることもある。
私のファスティングは基本的に水分、塩分、レモン汁、ゆっくり過ごす・・・のテンポで微調整していく形。ちなみに塩はいつもふるさと石垣島産の石垣の塩を使っている。

夜:空腹の濃さと、出汁の安堵

夜になると、2日目特有の空腹の濃さが押し寄せてきた。
お腹のぐうぐう音が1日目よりもはっきりと長く続き、体全体が「そろそろ燃料をよこせ」と主張しているようだ。ただ、不思議とイライラするわけではなく、体の奥で静かに燃え残った炭が「もうひとつ薪を」と訴えている感覚に近い。

台所に立ち、鍋に昆布と鰹を入れて弱火でじっくり火を通す。
湯気がふわりと立ちのぼるころには、空腹が嗅覚を鋭くしているのか、昆布の磯の香りと鰹の燻した香りが、普段より何倍も濃厚に届く。
だし汁をすすると、温度と旨みが一気に喉から胃へ流れ落ち、空腹でざわついていた神経がゆっくり鎮まっていく。

昨日はとろろ昆布を加えてとろみを足したが、今日はシンプルにだしだけにしてみた。
結果は意外と悪くない。
液体だけだと一瞬で胃に落ちていくのに、不足感よりも「これで十分」という静けさが訪れる。むしろ「食感に頼らず、香りと温度で満足できる」ことに気づいた。

そして、石垣から持ち帰った塩をほんの少し。
白い粒が熱で溶けると、スープ全体にうっすらと角のないまろやかな塩味が広がる。
塩分不足でふらつく不安が和らぎ、体が「これで一晩は大丈夫」と言っているようだった。

椀を両手で包むと、手のひらから腕、肩まで熱がじんわり伝わり、空腹よりも安心感が前面に出てくる。このまま布団に入れば、今日という一日を乗り切った実感とともに眠りに落ちられる。過ぎたな」とわかる瞬間がある。ファスティングはピークを過ぎればあとは以外とストレス解消になるのだ。


┃今日の記録

項目内容
体重56.3kg(-0.3kg)
水泳メニューなし(様子見)
その他運動散歩20分、軽いストレッチ15分
摂取ドリンク・梅酵素ジュース+レモン+白湯 約400ml
・アルカリイオン水 850 ml
・アルカリイオン水+レモン汁 約400ml
・昆布鰹だし+塩 約800ml
体調★★★★☆
(空腹は強めだが、出汁と塩分で落ち着く)
翌日予告明日はファスティング3日目。
前日は体を動かす予定としていたが、結局さほど動かなかったので明日はそろそろ泳ぎに行く予定

自然発生的に始まったゆる断食

緩やかファスティング初日|梅酵素ジュースと温かい出汁で乗り切る一日

ファスティングは、本来なら事前に計画を立てて準備してから始めるもの。
実は3か月ほど前にも、3日間のファスティングを試したことがある。
そのときは体重が約1.5kg落ち、その後もリバウンドせずにキープできている。
ただ、それはたまたまファスティング後の食生活が比較的安定していたからと言う面と、むくみが取れたのが大きかったんじゃないかと思う。

今回は、たまたまここ数日の食事がやけに軽く、それらしい状態になってしまったので、準備期間もそこそこにそのまま流れで突入した。今回は運動も少し取り入れてやってみる予定。ちなみに準備期間は絶対にあった方がいい。

ファスティングを始めた1日目の前々日は昼に雑炊、夕方にちんたら時間をかけてフルーツとヨーグルトを食べ、夜中に試作中のカレーのルーを味見用の小皿で数口。次の日は夕方に大根味噌汁を飲み、そのまま軽く過ごして気づけばほとんど食べていない。以下は、「今の状態ならちょうどいいかも」——と、そんな感じで始まった自然発生的な1日目の記録。

朝:梅酵素ジュースでやさしい糖質補給

朝、ベッドから起き上がると一瞬ふらっとした。

そこで取り出したのが、去年台湾で手に入れた完熟梅で作った自家製の梅酵素ジュース。
本当は梅シロップを作るつもりだったのに、仕込みの過程で意図せず発酵してしまい、結果として酵素ジュースになってしまったものだ。果糖と発酵成分で血糖の急落を防ぎ、脳や筋肉のエネルギーも確保できる上に、梅とレモンのクエン酸が乳酸の分解を助け、疲労感もやわらげる。発酵由来の酵素は腸内活動をやさしく整え、梅のミネラルとレモンのビタミンCがデトックスを後押しする。

ただし、甘さが強いので大さじ1〜2杯まで。
甘みに慣れすぎると、この先の糖質カットがきつくなる。

梅酵素ジュースのメリット

  • 果糖+発酵成分で血糖の急落を防ぐ
  • クエン酸で疲労回復&代謝アップ
  • 酵素で腸内環境をサポート
  • ビタミンC & ミネラルでデトックス促進

この日はレモン1個を絞り、白湯で割って10分ほどかけてゆっくり飲んだ。
酸味と甘みで頭がスッと冴え、体も内側からじんわり温まった。

ファスティングをすることによってフラついたり、めまいがしたりするのは好転反応と呼ばれるものらしい。ただ、糖をいきなり完全に遮断するより、少しずつ減らしていく方が長く続けられるメリットもあるらしい。急激な糖質カットは低血糖によるだるさや集中力の低下を招きやすく、少量の糖ならそうした不調をやわらげつつ脂肪燃焼は続けられるそうだ。

昼:カフェインは気にしすぎない

今日は土曜日。
朝の一杯を終えたあとはベッドの上でSNSをのんびりチェック。
気になることをメモしているうちに、時計はもう正午を回っていた。

気分転換に外へ出て、コーヒーを買いに行く。
ファスティング中のカフェインは賛否両論あるらしい。ネットをのぞくと「代謝を上げるから良い」という意見もあれば、「胃腸に負担をかけるから控えたほうがいい」という声もある。私はというと、そこまで神経質にならず、飲みたいときに飲む派だ。

ついでにアルカリイオン水のボトルを2本購入。
アルカリイオン水といえば、1990年代のブームを知っている人からすると少し懐かしい響きかもしれない。当時は「奇跡の水」や「魔法水」といった過剰な売り文句で宣伝され、トラブルも多かった。けれどその後の検証で、胃腸症状の改善や水分吸収効率の向上など一部の効果が裏付けられ、今では普通にスーパーで買える飲みやすい水になっている。
そんな背景を思い出しながらキャップをひねった。

夜:温かい出汁で空腹感をやわらげる

夜、空腹感がじわじわと押し寄せてきた。お腹もぐうぐう鳴る。
部屋は静かで、時計の針の音と、ときおり外から聞こえるバイクの音だけが響く。何か温かいものを口にしたくなり、台所で昆布と鰹のだしを取った。
湯気の向こうから、磯の香りと鰹の香ばしさがやわらかく広がってくる。

冷めてくると一気に飲みすぎてしまいそうなので、とろろ昆布をふたつまみ加える。
とろろがゆっくりとお湯に溶け、柔らかな食感と旨みが加わる。塩分もほとんど取っていなかったので、低血圧予防を兼ねて、地元・石垣島から持ち帰ったお気に入りの塩を少しだけ入れる。白くやわらかな塩の粒がすっと溶け、だし全体にやさしい塩味が行き渡る。

椀を手に取り、一口。
熱と旨みが喉を通り、胃に落ちるたびに空腹のざわつきが静まっていく。
体の奥がじんわり温まり、あとは眠りにつくだけ——そんな締めくくりの夜だった。


┃今日の記録

項目内容
体重56.6kg
水泳メニューなし(様子見)
その他運動ベッド上で軽くストレッチ
摂取ドリンク・梅酵素ジュース+レモン+白湯 約400ml
・コーヒーL 650ml
・アルカリイオン水 850 ml
・昆布鰹だし+とろろ昆布 約800ml
体調★★★★☆
(軽い目眩あり、朝の糖分と夜の塩分補給でほぼ改善)
翌日予告明日はファスティング2日目。
水分と糖質補給のバランスを見ながら、少し体を動かしてみる予定。

台湾美食展2025に行ってきた

台北で感じた、海鮮と文化が交わる食の祭典

先日、台北の世界貿易センター(世貿一館)で開催された「台湾美食展2025」に三日連続で行ってきた。台湾美食展は、台湾国内の食材や加工品、日本を含む海外の出展も集まり、五感で“おいしい”を楽しめる、にぎやかで大規模なイベント。毎年ちょうどこれくらいの時期に開催されている。

今年のテーマは「海鮮」。会場内では海鮮に関連する商品も各所に見られたけれど、それに限らず、台湾各地の農産物やスイーツ、調味料、日本や海外の加工食品まで、バラエティ豊かなジャンルが並んでいたのが印象的だった。

ちなみに今年の台湾美食展は、4日間で122,939人が来場。昨年から約17.5%増加という盛況ぶりだったそう。会場では200名以上の料理人や職人が参加し、約400本の料理ショーや講座、キッチンワークショップが行われ、まさに「食の総合芸術祭」と呼ぶにふさわしい熱気があった。

台北にはフード系の大規模イベントがいくつかあるけれど、その中でも「Food Taipei(フードタイペイ・台北國際食品展)」と比べると、台湾美食展はより生活者視点・来場者体験重視の展示会という印象。

Food Taipeiが「業者向け・BtoB色の強い国際食品見本市」であるのに対し、台湾美食展はもっと一般消費者寄り。試食も多く、ライブ調理やトークショー、文化要素を含んだステージなど、“楽しめる展示会”という意味ではまったく違う空気感だった。

写真:会場内の看板とブースイベントに集まる人だかり

熱気溢れる会場と台湾各地の“いま”が集う

会場に入ってまず感じたのは、熱気とにぎわい。
開場直後からすでに行列ができていて、あちこちで試食を待つ人の波ができていた。
揚げ物の香り、甘いスイーツの匂い、調理の音と人の声が混ざり合って、歩いているだけで食欲がわく。台湾のイベントらしい、オープンでフレンドリーな空気。
「これ辛い?」「子どもでも食べられる?」そんな一言が自然と飛び交っていて、作り手と食べ手が同じ目線で会話しているような光景が広がっていた。

台湾ブースでは、地方の特色があふれる食材や料理がずらりと並んでいた。
港町から来た新鮮な海鮮や、客家の伝統料理をアレンジしたスイーツ、南国フルーツを使った創作ドリンクなど、それぞれの土地が誇る“いま”が持ち寄られているような賑やかさだった。特に印象に残ったのは、生産者や小さなブランドの人たちが、直接その場で説明していたこと。「普段はここまで話せないんですよ」と笑う声の裏に、食べ物の背景が見えてくる気がした。

台湾のお米 ─ 台湾はお米も有名
台湾産のオレンジを使ったソーダやシロップ
台湾の海域で獲れる魚やかまぼこ
ノニジュースや健康食品類が並ぶブース
いろんな種類のちまきを置いているブースも
台湾で採れたフルーツ等を使った台湾産のワイン

日本美食館と、三重県の牡蠣

日本ブースも設けられていて、北海道、九州、関西など、いくつかの地域から出展があった。台湾美食展の中に「日本美食館」として、水産物を中心に調味料やお菓子などの“日本の味”が紹介されている。広島のお好み焼きや高知のいもてん(芋天)、宮崎の特産品など、その場で調理される実演も多く、屋台のような臨場感があった。

中でも印象に残ったのは、日本の水産庁が魚食を推進するために設けたキャンペーン「さかなの日」の取り組み。日本国内で魚離れが進む中、台湾でもその魅力を伝えようという企画らしい。台湾という新しい食卓に届けようとする姿勢が興味深かった。

そして、三重県の牡蠣フライ。
その場で揚げたてを提供していたのは、東京・銀座で牡蠣Barを営んでいるというオイスターショウコさん(🔗ショウコさんの 公式インスタグラムはこちら)。
最初はただ揚げてくれている方だと思っていたけれど、実は、全国の牡蠣生産者を巡ってイベントやツアーを開催しながら、牡蠣の魅力を広める活動をしている、まさに“牡蠣に人生をかけている人”だった。「牡蠣で世界平和を目指す」というキャッチコピーも、冗談のようでいて本気。情熱と遊び心が同居していて、すごくイイ。
台北で、そんなふうに牡蠣を愛する人のカキフライを食べられるとは思っていなかった。
衣はサクサク、中はとろりとミルキー。隣で試食していた台湾の人たちも、「サクサクプリップリでおいしい!」「臭みが全くないね」と笑顔で話していて、言葉がなくても通じるものがあるんだなと感じた。

丸愛さんのブースには、牡蠣せんべいや魚のすり身、黄金福だしなども並んでいて、家庭でも取り入れやすそうな商品が並んでいた。
本当は石垣島も出展予定だったらしいけれど、今回は直前で中止になったとのこと。
個人的にはとても楽しみにしていたので、ちょっと残念だった。
来年以降の出展に、密かに期待している。

丸善さんと丸愛さん
丸愛さんの万能和風だし
なぜかビールをもらう弊社の顧問
若松屋さん
冷凍牡蠣。解凍したらすぐに食べられる
ちゃんと商品に対する説明も聞いています
カキフライ試食時の状況と人だかり ─ ブースの横にまで列がずらり。
試食をおひとついただいた ─ 美味しすぎた。
ご本人のポスターもいただきました ─ 事務所に貼らせていただきます。

ステージで響いた、沖縄の音

ちょうど会場に入った時、会場中央のステージでは三線演奏者のAMIさんによる演奏が行われていた。沖縄出身で、実は私の妹でもある。ステージに立つ姿を見るのは久しぶりだったけれど、三線の音色とともに沖縄の空気をまっすぐ届けてくれるその演奏は、やっぱり特別だった。食のイベントに響く三線の音は、ちょっと不思議で、でもとても心地よかった。ふと足を止めて聴いている人が増えていき、三線の音が、食と音、文化と文化を静かにつないでいるようだった。

沖縄と台湾は、似ているところがたくさんある。海に囲まれていて、魚介が豊富で、地域ごとに多様な食文化がある。でも、同じ食材でも調理法や味付けは全然違う。

三重県の牡蠣フライを通して見えた「食べ方の違い」と、それに対する台湾の人たちの素直なリアクションは、言葉じゃないコミュニケーションとして、すごく印象に残った。

琉翔顧問の黒島・AMI・秘書の美咲・私
せっかくなので姉妹ショットも撮らせていただく
幸福(口福)すぎます ─ ありがとうございました

おわりに──そして来年へ

台灣美食展は、ただ食べるだけのイベントじゃなかった。会話が生まれたり、文化が交わったり、未来を想像したり。食をきっかけに、たくさんの“つながり”が見えたような気がした。

そして、来年の開催もすでに決定している。次回は2026年7月31日〜8月3日、台北世貿一館にて開催予定。今年以上の規模と多様なテーマが期待されている。

こうしたイベントや台湾での出展に関心がある方がいらっしゃいましたら、現地のネットワークを通じてお話をつなぐこともできるので、気軽に声をかけてもらえたら嬉しいです。

People#003


泡盛を愛してやまない台湾人

先日、台湾・台北の赤峰街で開かれた泡盛品評会イベント。
その会場で講師を務めていたのが、旅行会社を立ち上げ、欧米市場を中心に長年“ディープトラベル”を仕掛けてきたEddyさんこと洪東焱さんだった。
沖縄の伝統酒・泡盛をアツく語るその姿に「なぜ旅行業の人がこの場に?」という素朴な疑問が湧き、気づけば話を聞かせてもらうことに。
(イベントの様子はこちらの記事にまとめました。)

このブログのPeopleカテゴリーでは、私なかちが「気になる人」に話を聞かせてもらい、その人の活動や背景を紹介しています。日常の延長で出会った“人”を通して、文化や地域の今を切り取る――そんな位置づけの記事です。肩の力を抜いて、気軽に読んでもらえたら嬉しいです。

ディープトラベルという考え方

──「旅は奥行きごと届けたい。」

Eddyさんは長年、旅行会社を経営しながら“ディープトラベル”と呼ばれる文化や暮らしの深い部分まで触れられる旅を届けてきた。単なる観光地巡りではなく、その土地の文化や歴史、人の営みまで体感できる奥行きのある旅。ガイドブックに載らない小さな町や、人づてにしか辿り着けない体験を旅の中心に据える。

例えば、イタリアではワイナリーとミシュランレストランをめぐる美食ツアー、スリランカでは世界的建築家ジェフリー・バワの建築に宿泊するツアーなど。「その土地の奥行きを知らずに帰るのは、旅の半分しか味わえていない」という彼の言葉に、思わずうん、うんと頷いてしまう。

日本市場への挑戦と、泡盛との出会い

2009年前後、台湾人旅行者の主流はまだパッケージツアー。一方、日本市場には「スルーガイド」という独特の文化があり、言語や人脈がなければ参入しにくい壁があったという。
Eddyさんの会社も当初は欧米市場を中心にしていたが、それでも日本市場を諦めなかった。

京都や大阪、沖縄を巡って祭りや町工場を歩き、人づてでネットワークを築いた3年後、ようやく日本案件の受注が始まる。そして日本観光局や電通との仕事を通じて参加した沖縄の観光プロモーションイベントで、彼は泡盛と出会う。
その豊かな香りと奥行きに衝撃を受け、背景にある歴史や人々の営みに強く惹かれた。この出会いが、Eddyさんの旅の哲学と沖縄文化をつなぐ大きな転機となった。

泡盛の豊かな香りと奥行きに触れた瞬間、Eddyさんの中で何かが変わった。そこに込められた歴史や人々の営みを知ることで、沖縄という土地の見え方そのものが変わっていったのだ。それ以来、沖縄を訪れるたびに酒造をめぐり、職人や地域文化と出会う旅を重ねてきた。「泡盛を知ることは、沖縄の奥行きを知ることだ」。20年近く続くその歩みは、Eddyさんの提唱するディープトラベルの象徴でもある。

(写真:台湾観光貢献賞を受賞するEddyさん。)

Eddyさんの旅行会社についての情報:

勝芳旅行社有限公司 台北分公司
Wawafly international tourism service
▶︎Wawafly 公式インスタグラムページ
▶︎Wawafly 公式フェイスブックページ

台湾と日本をつなぐ取り組み

泡盛との出会いを機に、Eddyさんの活動は台湾と日本を結ぶ方向へ広がった。沖縄では観光客が見落としがちな離島や集落文化に光を当て、地元の人々との交流や食文化体験を組み込んだツアーを構想。酒造訪問や泡盛テイスティングを軸にした企画も生まれた。

さらに台湾の手工芸職人と協力し、沖縄の伝統工芸とクラフト文化を融合させたワークショップ企画や、空手道・地域祭りといった暮らしの文化をスポーツ観光と掛け合わせる試みも進行中。

──「旅は消費ではなく、人や文化をつなぐきっかけになる。」
その言葉通り、Eddyさんの活動は観光業を超え、地域間交流の仕組みづくりへ発展している。

(写真:泡盛品評会にて各種泡盛について説明するEddyさん)

コロナ禍を経て見えた、新しい挑戦

2017年後期から3年間続いたコロナ禍は、台湾の旅行業界にとって大きな転換点だった。海外渡航が止まり、多くの旅行会社が縮小や撤退を余儀なくされた。Eddyさんの会社も欧米向けツアーを一時停止するなど例外ではなかった。それでも彼は、この空白期間を「次の旅の準備」と捉え、沖縄という新しいフィールドの研究に没頭した。

宿泊施設や文化資源を調査し、クラフト体験やスポーツイベントを軸とした“文化深耕型”ツーリズムを模索。さらに台湾の若い職人や起業家が沖縄で挑戦できる仕組みづくりも視野に入れる。泡盛を入り口に広がった活動は、今も地域間交流の形を更新し続けている。

(写真:Eddyさんがガイドする企画の催行時に撮影したもの)

日本の若者へ──「もっと台湾で挑戦してみて」

インタビューの最後、ふと思いついてEddyさんに投げかけた質問がある。
「日本の若い世代に、何か期待していることはありますか?」

少し考えたあと、Eddyさんは穏やかにこう答えた。
「もし興味があるなら、もっと台湾で挑戦してみてほしい。台湾は文化的にも柔軟で、人の距離感も近い。ビジネスのスピード感や試行錯誤の余地も大きいから、若い人にとっては“試す”にはちょうどいい環境なんだよね」

台湾市場の特徴として、失敗に対して比較的寛容であることや、人とのつながりがビジネスチャンスにつながりやすい点を挙げるEddyさん。観光や手工芸、フードカルチャーといった分野だけでなく、ITやクリエイティブ領域でも日本人の感性が活かせる場面が多いと話す。

「沖縄も台湾も、ある意味で“島”という共通点があって、外から来た人を受け入れる土壌がある。そこに飛び込んでみる若い人が増えれば、きっと面白い化学反応が起きるはず」。
彼の言葉は、観光業を超えて文化交流や人材交流の未来像まで見据えているようだった。

(写真:素敵な奥様と─背景が日本の国旗みたいで素敵)

Eddyさんの取り組みは、旅の企画や文化交流にとどまらず、より実務的な領域にも広がっている。
近年は台湾から沖縄へ渡って起業する人のサポートとして、法人設立やビザ申請、創業にまつわる各種手続きや運営支援、さらには原材料や輸出入に関する協力まで。
その活動は不動産分野にも広がり、置産に関する法律相談や物件選び、投資から運用・売却に至るまで、現地ならではの視点を活かしたアドバイスを提供するなど、「人と文化をつなぐ」という軸を中心に、暮らしやビジネスのフィールドでも沖縄を深く知るきっかけをつくり続けている。

これからEddyさんが描き出す“奥行きのある旅”が、どんな景色を見せてくれるのか楽しみだ。その後の数時間も彼は、台湾のことや、私自身も知らなかった“外から見た沖縄”について、たくさんのことを教えてくれた。改めて、この場を借りて──本当にありがとうございました。

People#002

沖縄と台湾をまたぐ「文化の人」伊禮武志さん 


沖縄と台湾をつなぐ「文化のしかけ人」

伊禮さんのことを、もう何年も前から知っている。伊禮さんのことを一言で表すなら、「文化の仕掛け人」という言葉だ。

伊禮さんは、沖縄と台湾、その二つの島を行き来しながら、人と人をつなぎ、新しい場を生み出してきた人だ。私が台湾に拠点を置いてからも、沖縄と台湾を行き来しながら文化交流の現場に立ち続ける人だ。
音楽の話、原住民の話、そして沖縄の未来の話。
話題の幅は広いのに、根っこにあるのはいつも「人をつなぐこと」。

同じ沖縄出身ということもあり、台湾で会うたび、どこか故郷に近い安心感を覚える。

(写真:真ん中の白いTシャツを着ている方が伊禮さん)

首里に生まれた“音楽少年”

伊禮さんは1973年、首里で生まれた。
祖母の故郷は渡嘉敷島、祖父の故郷ムートゥヤー(元家)は糸満。祖父は1972年に福祉事業として保育園を立ち上げ、地域に根ざした活動を続けていたという。

少年時代の伊禮さんはロックやダンスミュージックに夢中だった。
「中学卒業してすぐ走り屋になって、喫茶店で深夜アルバイトして改造費に全部つぎ込んでたさ(笑)」
と話すときの顔は、今でもどこかやんちゃな雰囲気が残る。

ライブハウスの皿洗いから文化事業へ

音楽そのものよりも、音楽をやっている人たちが好きだったという伊禮さん。
ライブハウスに出入りしながら皿洗いや楽器運び、楽屋準備、音響サポート…。
現場の裏方として身を置き、音楽イベントの世界に自然と足を踏み入れていった。

「ライブしては打ち上げ、そしてまたライブ。収入は全部そこに消えていったね〜(笑)」その経験は、のちに文化事業を仕掛けるときの大切な基盤になっていく。

アメリカで見た景色と、沖縄への視点

2005〜2006年、伊禮さんはロックやダンスミュージックの本場を見にアメリカへ。
マイアミ、ロサンゼルス、ニューヨーク、サンフランシスコ――各地でキーマンと出会い、音楽シーンのリアルに触れた。

「挑戦はしたけど、どうやってアメリカに通い続けるのか? その現実も突きつけられた」

この旅が逆に、沖縄の文化を見直すきっかけになったという。
帰国後は拝所を巡ったり、神様の存在を近くに感じる不思議な体験もあった。
それが、今の文化交流の起点になっている。

你好我好有限公司と台湾での活動

伊禮さんが台湾と人をつなぐ活動を本格的に始めるきっかけになったのは、2010年の沖縄音楽祭だ。この音楽祭で、台湾アーティストを沖縄に招致し、大きな文化交流を実現した。
当時、台湾は観光誘致に力を入れており、イベントは想像以上に注目を集め、多くの協力者や新しい出会いが生まれた。

この経験を経て、伊禮さんは台湾との関わりを深め、你好我好有限公司の経理人として活動することになる。同社は文化事業を通じて人と人を多方面につなぐことを目指す台湾拠点の会社であり、伊禮さんの活動の中核にもなっている。

(写真:イベント活動時の写真・伊禮さん提供)

你好我好有限公司(外部リンク)

3.11とラジオ番組

2011年からはJFN各局、ラジオで放送される台湾音楽番組「楽楽台湾」をスタート。
偶然にも初回収録日が日本と台湾にとって忘れられない3.11当日。予定していた番組内容は急遽没となり、その後の放送はインタビュー形式に切り替えた。津波直後に現場で応援インタビューを録音したという。

「声で届ける」ということの意味を、伊禮さん自身が強く意識するきっかけになった出来事だ。

原住民文化からの学び

沖縄の国際音楽祭で出会った原住民バンド「TOTEM」。
TOTEM公式フェイスブックページ(外部リンク)

パイワン族やアミ族のメンバーが集まり、伝統と現代を融合させた彼らの音楽は、伊禮さんの価値観を揺さぶった。

原住民の若者が豊年祭の前に自然の中で生活訓練を行うという話を、伊禮さんはよくする。
「沖縄も昔はそうだったはず。今も残そうとしてるけど、まだ足りない部分があるんだよね」
原住民文化を知ることが、沖縄文化を見直すヒントにもなっている。

最新活動:「世界音樂在 A8 ‒ 徐徐島聲 來自沖繩」展

伊礼さんの直近の活動は、桃園市A8藝文中心で開催中の展覧会
世界音樂在 A8 ‒ 徐徐島聲 來自沖繩」。

この展覧会は、沖縄の音楽・歴史・文化を台湾の人に深く知ってもらうことを目的としたもの。主催は桃園文化局管轄のギャラリー・A8藝文中心で、2ヶ月半もの長期にわたり展示会場を沖縄のために提供してくれている

しかし、台湾側の行政予算だけでは資金が足りず、沖縄関連団体からも支援を呼びかけたものの補助は得られなかった。
不足分を最終的に負担したのは、伊礼さんの会社「你好我好有限公司」
完全な民間主導で開催していることが、この展覧会のもうひとつの特徴だ。

-「本展覽承蒙多方關係者的厚意與支持,得以完整呈現沖繩的多元魅力。這是一次絕佳機會,讓您深入認識沖繩的音樂、歷史與文化底蘊。展期為2025年6月7日至8月24日,地點為桃園市A8藝文中心(鄰近MRT長庚醫院站),展區面積達330平方公尺,誠摯邀請各位蒞臨,共度一段感受沖繩魅力的美好時光。」-

展示内容は、琉球王国時代から現代までの文化・歴史変遷。
御座楽やEisa太鼓、神歌や祭祀文化、戦後の音楽復興やA-sign文化など、沖縄の多様な側面を体験できる。
さらに紅型染めや三線、琉球針突といった参加型ワークショップも多数開催され、台湾と沖縄の文化交流を肌で感じられる場になっている。

(写真:イベント会場で参加者に沖縄の歴史や文化を伝える伊禮さん)

世界音樂在 A8 ‒ 徐徐島聲 來自沖繩 展覧会情

(写真:”徐徐島聲來自沖繩”イベント会場展示品)

文化を“事業”として続けるということ

文化交流は、もともとお金持ちがやる事業だと伊禮さんは笑う。
でも、諦めずに続けていると「手伝わせてください」と声がかかる。
桃園でのイベントもそうだが、民間だからこそ動ける柔軟さと、継続する強さが伊禮さんにはある。

なかちから見た伊禮さん

台湾で生活する私から見ても、伊禮さんは沖縄と台湾の両方に深く関わり続ける稀有な存在だ。
文化や音楽の話をしているはずが、気づけば「人と人の交わり」の話になっている。
下ネタを挟みつつも(笑)、地域の未来を真剣に考えるその姿勢に、つい引き込まれてしまう。

そして、飲みの席で見かける伊禮さんといえば
――いつも泡盛をストレートで飲んでいる。
とことん泡盛好きで、時々べろんべろんになっている姿も印象的だ。
そういう“抜け感”があるからこそ、周りの人も安心して集まってくるのかもしれない。

今日もまた、沖縄と台湾をつなぐ新しい出会いの中心には、伊禮さんがいる。

沖縄の伝統酒と出会う午後

赤峰街で体験した「泡盛品評会」

本日、台北・赤峰街で行われた泡盛(あわもり)の品評会に参加してきました。
沖縄の伝統酒である泡盛は、ここ台湾でも少しずつ知名度が高まりつつありますが、実際に複数の銘柄を一度に飲み比べられる機会は貴重。
会場には沖縄らしい華やかな紅型デザインのテーブルクロスと、ずらりと並ぶボトルたち。

泡盛とは?──沖縄最古の蒸留酒

泡盛は、500年以上の歴史を持つ沖縄独自の蒸留酒。
原料にはタイ産の長粒米(インディカ米)が使われ、黒麹菌で発酵させ、単式蒸留で造られます。アルコール度数はおよそ30度前後とやや高めですが、米の甘みや香り、長期熟成による丸みのある味わいが特徴です。

沖縄では祝い事や日常の食卓で親しまれ、水割り・ロック・お湯割りなど飲み方の幅広さも魅力のひとつ。近年は熟成技術の向上や新しい製法の試みにより、従来より芳醇でありながらも辛口のバランスを持つ銘柄も登場しています。

品評会で出会った泡盛たち

今回のイベントでは、沖縄を代表する複数の蔵元の泡盛が登場。
古酒(クース)からライトなタイプまで幅広く揃い、ひとつひとつ香りや味の違いを確かめながら味わいました。

  • 香り高くフルーティーなタイプ
  • 口当たり柔らかで米の甘みを感じるタイプ
  • 長期熟成によるウッディな余韻が残るタイプ

同じ「泡盛」というカテゴリでも、ここまで表情が変わるのかと驚かされる体験でした。
画像は講師のEddyさん。

イベントの雰囲気

会場となった赤峰街の展示スペースには、沖縄を感じさせる装飾や音楽が流れ、台湾にいながら小さな旅をしているような感覚。
参加者同士で味の感想を共有したり、講師の方から泡盛の歴史や飲み方のアドバイスを受けたりと、交流の時間も充実していました。

台湾で泡盛を楽しむ可能性

台湾でも日本酒や焼酎は広まりつつありますが、泡盛はまだまだ知られていない存在。
しかし、香りの個性や飲み方の柔軟さは台湾の食文化とも相性が良さそうで、今後さらに注目されていくのではないでしょうか。
今回の品評会では、圓酒居酒屋と島彩からの料理がおつまみとして提供されていました。沖縄の郷土料理ととても相性の良い泡盛。台湾の香辛料を使った海鮮料理や揚げ物とのペアリングも相性が良さそうだと感じました。

さいごに

泡盛は単なるお酒ではなく、沖縄の歴史や文化を映し出す存在です。
今回の品評会は、そんな泡盛の奥深さを体感できる貴重な時間でした。
もし台湾で泡盛のイベントを見かけたら、ぜひ一度足を運んでみてください。
その一杯が、沖縄への新しい扉を開いてくれるかもしれません。

Works#002

写真:基隆市内のローカル食堂にて
円卓を囲みながら、石垣港と基隆港を結ぶ新航路観光プロジェクトの未来を語った夜。


石垣港×基隆港─結ぶ新航路観光プロジェクト

沖縄の石垣港と台湾北部の基隆港を結ぶ新しいフェリー航路が計画されています。
港町ならではの食や文化、そして海の風景を一度の旅で楽しめるこの新航路は、双方の港町を双方向に行き来する船旅の新しい可能性として注目を集めています。

先日、基隆市内のローカル食堂にて、この構想に携わる関係者と会食し、プロジェクトの意義や今後の展望について率直に意見を交わしました。

石垣港と基隆港を結ぶ新航路計画

台湾北部の玄関口である基隆港と、沖縄・八重山諸島の中心となる石垣港
両港は地理的には非常に近い位置にありながら、これまで石垣島から台湾に向かう場合は、沖縄本島の那覇空港を経由する航空路線が唯一の手段でした。
そのため、直線距離では近いにもかかわらず、時間や費用の面で移動のハードルが高く、港町同士の直接的な交流や観光ルートはほとんど存在していませんでした。

近年、

  • 台湾から沖縄離島への観光需要の高まり(自然や文化体験、離島リゾート志向)
  • 航空便の混雑や価格変動への課題(直行便がなく、移動が複雑)
  • 港町観光資源の再評価(基隆の夜市・正濱漁港や和平島、石垣の川平湾や竹富島など)

といった背景から、基隆港と石垣港を直接結ぶフェリー航路の開設が注目されています。

この新航路は単なる移動手段ではなく、港町文化と船旅体験を組み合わせた新しい観光スタイルの提案でもあります。海を渡る時間そのものを旅の一部として楽しみ、到着後は港のそばから始まるローカルな体験に飛び込む――そんな双方向の観光モデルが、このプロジェクトで描かれています。

新しい「双港観光」の形が提案されています。路がつなぐことで、新しい観光スタイルを提案しています。

会食の現場から

打ち合わせは基隆市内のローカル食堂で行われました。
壁に貼られた手書きのメニュー札、厨房から漂う魚やニンニクの香り、丸いターンテーブルに並ぶ海鮮料理――。

「基隆の夜市をどう旅程に入れるか」
「石垣では星砂の浜や川平湾をどう紹介するか」
といった観光資源の組み合わせから、航路開設後の旅行商品の具体化やSNS発信の方法まで、幅広いテーマで議論が交わされました。

会議室ではなく食堂というカジュアルな場だったからこそ、人の想いや土地への愛着が自然とにじみ出る、距離の近い対話になったのが印象的でした。

港をつなぐ旅をどう形にするか?

  • 港町同士の観光資源をどう連携させるか
  • フェリー航路と観光商品の一体化
  • 自治体・民間が協力する広報戦略
  • 自由旅行や小グループ旅行へのアプローチ方法
  • 口コミ・SNSを活用した集客の可能性

単なる観光ルート設計ではなく、「港と港を結ぶことで生まれる交流そのものの価値」にまで視点が広がったことが、この会食の大きな収穫でした。

石垣島出身として

私は石垣島で生まれ育ち、現在は台湾と日本を行き来しながら活動しています。
だからこそ、石垣港と基隆港を結ぶ航路の意義を強く感じます。
その立場から見ると、石垣港と基隆港を結ぶ航路は単なる移動手段ではなく、両地域の文化や人の交流を深める象徴的な存在になり得ます。

観光客の往来が増えるだけでなく、港町同士が互いの文化を知り、経済や暮らしにも新しい動きが生まれる。その「始まりの瞬間」に立ち会っている実感がありました。

今後の展望

現在はまだ計画段階ですが、航路の正式発表や観光商品の具体化に向け、現地での調整や連携づくりが少しずつ進んでいます。進捗や現地の様子も含め、このブログで継続的に記録していく予定です。

石垣港と基隆港をつなぐ新航路が、両地域にどのような交流と変化をもたらすのか、引き続き追いかけていきます。

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People#001

沖縄を背負う変人── 黒島真洋という”現象”

台湾に来てからたくさんの人に出会ったけれど、 「この人、マジでどうかしてるな」と思った回数では断トツ1位。 それが黒島真洋さん。

沖縄県人会の会長であり、私の元上司であり、琉翔の顧問でもあり、 そして、“歩くエンタメ”みたいな人でもある。


一見ふざけてるけど、人生はガチ

黒島さんの話をすると、みんな最初は「えっ?」って顔をする。

たとえば、事務所での休憩時間。 なかなかデスクに戻ってこないと思って探しまわったら、 ソファーと在庫の段ボールの隙間に体育座りで埋もれて寝ていた。 そのまま展示物かと思った。 (本人いわく「一番風が通る場所」らしい。知るか。)

ある時は、事務所から遠く離れたカフェで、私が黒島さんを向かいにして座りながら、事務所のシャッターリモコンをいじっていたら、 「おい!シャッターが開く!やめろ!」
……いや、物理的に届くわけないです。どこまで賢くて、どこまでアホなのか、毎回判断に困る。

初めて会った時は、全身真っピンクのスーツに分厚いメガネ(ド近眼)クリスチャン・ディオールのマフラー。 ピコ太郎の癒し系バージョンという表現がいちばん近い。

でも身なりに気を使うタイプかと思いきや、 普段はボロTに毛玉まみれのスラックス。 私が「一緒に歩くの恥ずかしい」と言うまで、意に介する様子もなかった。

靴を耳にあてて「もしもし、もしもし」と笑えるのか笑えないのか、ギャグなのかボケなのかわからないことを言い出したり、 LINEでは突如「黒島スタンプ」を連投してきたり…… もはや説明不能である。

でも、そんな“変な人”が、本気の仕事をしている。

即興力と突破力で、案件を決める人

黒島さんは、即興で案件を決める。 打ち合わせでも営業でも、「何も決めてないけどとりあえず行こう」と言って、 その場で雰囲気を作り、言葉を編み、空気を動かして契約を取ってくる。

「プレゼン資料を準備して…」なんて流れとはまるで違う。 でも、その柔軟さと説得力に惹かれて、動く人が確実にいる。そして私は毎回巻き込まれている。巻き込まれ事件。

実はすごい人(ここ大事)

ここまで読んで、ただの“愉快なおじさん”だと思ったかもしれない。
でも実際は、すごい人だ。

  • 沖縄県人会 台湾支部 会長(数年にわたり日台交流を牽引)
  • 沖縄県や企業と連携した文化・経済イベントの実施や学生相手にスピーチ登壇など
  • 台湾社会に根を張り、移住者の支援も積極的に
  • 琉翔有限公司の顧問として若手育成にも貢献
  • 台湾で複数の居酒屋・飲食店を経営する実業オーナー
  • 飲食店の開業・展開支援を手がけ、現地での食文化の橋渡し役を担う
  • お酒の輸入販売業も手がけ、沖縄の味と文化を台湾へ届けている
  • IT業界出身のバックグラウンドを活かし、大手飲食チェーンへのDX支援や業務改善アドバイスも提供
  • そして何より、人と人、ビジネスとビジネスを“つなぐ力”がとにかくすごい。
  • 紹介・橋渡しの達人であり、常に人脈のハブにいる存在。

……ただし、たまに私にむちゃくちゃなことを言ってキレられる。
沖縄と台湾をつなぐ実務者であり、現場主義の体現者でもある。
笑いの渦の中から、いつも一歩先を走っている。

私にとっての黒島さん

黒島さんがいなかったら、私はここまで台湾でやってこられなかった。
笑いと(+怒りと)一緒に、「いいぞ〜、いいぞ〜」と背中を押してくれる人。

ビジネスも人生も「楽しくなきゃ意味がない」と思わせてくれた。
それは、ふざけてるようで、実はとても深い教えだったと思う。

まとめ:この人をどう定義すればいいのか

真面目かと思えば変、変かと思えば尊敬もできる。よくわからない。 でも、「黒島真洋」という名前を聞いて楽しげに「あぁ、黒島さんね」と微笑む人は、たくさんいる。 それがすでに、ひとつの実績だと思う。

この先も沖縄と台湾のあいだで、体育座りしてたり、靴で「もしもし」していたり、ビール飲んでたりしていてほしい。最近は痛風がひどくて、もっぱらハイボールらしいけれど。

Works#001

AIシステム導入現場のサポート記録|埼玉出張(2025年7月)

(TOP写真:検証現場と導入する機械)

2025年7月14日から17日までの4日間、埼玉県へ出張しました。
今回のミッションは、台湾から派遣された技術者2名とともに、日本国内の導入企業において
システム検証・納品作業の現場サポートと現場での通訳

この案件は、AIシステムを提供する企業様から直接お声がけをいただきました。
前週までは専任担当の方が現地に滞在し、開発・調整を進めていましたが、翌週からはサポートが遠隔対応になるため、現地での言語支援と作業補助を担える人材が必要になり、急遽私が現地に入ることになった感じです。

内容メモ:

  • 専門通訳:台湾の技術者と日本側スタッフの間に立ち、作業工程・検証内容・技術的指示などをリアルタイムで翻訳。
  • 検証・納品サポート:導入企業の現場でシステム動作の確認を補助し、必要な調整をその場で進める。
  • 現場調整・進行管理:時間配分や作業優先度の確認、進捗の報告。
  • 台湾側チームとの連携:遠隔で待機する専門担当者と情報共有し、必要な追加指示をスムーズに現場へ反映。

現場で感じたこと

AIシステム導入の現場は、想定通りに進むことばかりではありません。
特に、飲食業の現場特有のオペレーションや、日本と台湾での業務フローや文化の違いが見える場面もありました。

そうした場面で、ただ翻訳するだけでなく、「なぜその手順が必要なのか」「どうすれば現場が動きやすくなるか」を理解し、双方に噛み砕いて伝えることの重要性を改めて実感しました。


出張を通して

二拠点での暮らしや仕事を続ける中で、“境界をまたいで動ける人”としての強みをこうしたプロジェクトで活かせるのは、自分の大切な役割だと思っています。
今後も、言語だけでなく文化や現場感覚まで含めたサポートを自然にできる存在でありたいです。